ところがこれに対して検察側は、再審・釈放ともに即刻、異議申し立てを行いました。この異議申し立てに東京高裁は釈放については却下を決め、ゴビンダさんは家族のもとに帰ることができるようになりましたが、再審は別の裁判官が審議することになりさらに時間を要することになってしまいました。検察の執拗なゴビンダさんへの「犯人扱い」に断固抗議するものです。
事件の概要をみてみましょう。事件は1997年3月に渋谷区の被害女性のアパートで殺害されたことが発端で、被害者が東京電力の従業員であったことから、当初は「東電OL殺人事件」という名前で報道されるようになりました。
被害者女性は東京電力に女性総合職として入社しており、未婚のエリート社員ということがセンセーショナルに取り上げられ、後の捜査で、退勤後は、渋谷区円山町付近の路上で客を勧誘し売春を行っていたことが判明しました。それもあって、マスコミの好奇心にさらされ、最近の「芸人家族の生活保護受給事件」と同様の、メディアスクラムが起きました。
この事件の犯人として、事件が起きたアパートの隣のビルの4階に住んでいたネパール人男性、ゴビンダさんが逮捕されたのです。東京地裁は2000年4月に現場から第三者の体毛が見つかったことなどを「解明できない疑問点」として挙げ、「第三者が犯行時に現場にいた可能性も否定できず、立証不十分」として、無罪判決を言い渡しました。しかし、検察側は即時控訴したのです。
その後、2000年12月に東京高裁で逆転有罪判決が出され、「犯行直前に被告人が事件現場にいたこと(鑑定により現場に残された使用済みコンドームに付着した精液と現場に残された体毛が被告と一致)と、事件直後に金を工面できたこと」などいくつかの状況証拠を理由に有罪とし、無期懲役判決を言い渡したのです。つづく2003年10月に、最高裁はこの高裁判決を支持し、無期懲役の有罪判決が確定しました。
ゴビンダさんは一貫して事件への関与を否定し、地裁段階から無実を訴え続けました。判決が確定したあと、2005年3月に再審請求をしており、これが認められたのです。(次回につづく)
★脈絡のないきょうの一行
野田首相きょうにも記者会見を開いて大飯原発再稼動を強調するという。再稼動、許すまじ。
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