日本に軍法はない。なぜなら日本は軍隊を持てない国であり、自衛隊は軍隊ではないからだ。したがって自衛隊員は国民と同じように、一般の国内法が適用される。それを「わが軍」と意図的とも思える表現をした安倍首相。
きょうの毎日新聞の社説は厳しく批判している。軍と自衛隊の違いを解説的に指摘していて、分かりやすい教材ともなっている。以下、その一部を紹介しよう。
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社説:「わが軍」発言 おざなりな認識は困る
毎日新聞 2015年03月27日 02時40分
専守防衛を目的にした自衛隊は通常の軍隊とは異なる、というのが政府の一貫した見解である。
これは「陸海空軍その他の戦力は保持しない」と定めた憲法9条2項の制約があるためだ。すなわち自衛隊の合憲性は、軍とは異なるという位置づけから導き出されている。
具体的にどう違うのか。
専守防衛というのは、相手から攻撃を受けた時に初めて応戦でき、しかも必要最小限度の武力行使にとどめる考え方だ。
このため、自衛隊は攻撃型の空母や攻撃用のミサイル、爆撃機などは保持できないとされている。また一般に駆逐艦と呼ばれる艦船を、自衛隊は護衛艦、攻撃機を支援戦闘機と言い換えてもいる。
自衛官の階級呼称が「大佐」や「中佐」ではなく、「1佐」「2佐」などと定められているのも、軍との違いを意識したものだ。
最も決定的な違いは、自衛隊には軍隊に不可欠な「軍法会議」が存在しないことだろう。
武力攻撃を目的とする他国の軍隊には通常、特別の法体系として軍法がある。しかし、憲法76条は最高裁を頂点とする司法制度以外のものを認めていない。このため、自衛隊にも一般の国内法が適用される。
このように自衛隊と軍隊を明確に区別することを目的として、数々の配慮が積み重ねられてきた。その理由は、歴代の政権が自衛隊と憲法9条との強い緊張関係を自覚していたからにほかならない。
国際法上、軍隊に当たるというのは、捕虜などに関するジュネーブ条約が自衛隊員にも適用されることを指している。しかし、この点だけで自衛隊を軍と呼んでも差し支えないと主張するのは無理がある。
国民が自衛隊に信頼を寄せるのは、軍隊とは異なる存在だからでもあろう。自衛隊と軍との区別がおざなりなままでは、安全保障法制の議論が粗雑になってしまう。
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5月の連休明けから、集団的自衛権行使のための安保法制の議論が始まる。始まる前から、その本質が知れた。語るに落ちる、安倍内閣。それにつけても、憲法違反法を自民党と一緒に推進しようとする公明党、度し難い。
★脈絡のないきょうの一行
ドイツ機の墜落、副操縦士の自殺説浮上。事実だとしたら、言葉が見つからない。
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