私もそう記憶している。この交付金制度は悪名高い小選挙区制度と同時に成立した。小ブログでも紹介したが、小選挙区制は政治腐敗を正す意味から「政治改革」という名の鳴物入りで成立した。その議論のなかで団体・企業献金禁止論が浮上し、各党ともこれを了承したはずだ。
ところが現実は〝すっぽ抜け〟に終わり、あまつさえ国からの補助金を得ている企業からの政治献金禁止もなきもの状態となっている。それが、安倍首相が該当5社から政治献金を受けていたという問題だ。これはもう明らかな法違反であり、責任は追及されてしかるべきだ。団体・企業献金禁止問題で、以下のようないい加減な〝取り決め〟があったことに、改めてハラが立つ。
与良氏が指摘するように、私も団体・企業献金は全面的に禁止すべきだと思う。
◇=◇=◇
熱血!与良政談:抜け道を用意する罪=与良正男
毎日新聞 2015年03月04日 東京夕刊
先週も触れた「与野党は1994年、政党交付金の導入を決めた際、5年後に政治家への企業・団体献金を廃止すると約束していた」という話に今一度こだわりたい。
合意したのは当時、非自民連立政権のトップだった細川護熙首相と野党・自民党の河野洋平総裁だ。2人には衆院法制局の見解として、こんな助言がもたらされていた。
「献金を『5年に限り認める』というのと、『5年後に廃止する』とは違います。5年限りであれば、今回法律で定めれば放っておいても5年後に禁止となるが、5年後廃止だと、その時にまた新たな廃止法を作らなければ効果は生じない」
分かりにくい理屈だけれど、法律とはそういうものらしい。そこで2人は「ならば『5年限り』でかまわない」と合意した。ところが各党の担当者が具体策を協議するうちに、いつの間にか「5年後廃止」と言葉が書き直されていた――。
以上は細川氏の秘書官を務めていた成田憲彦氏が後に明らかにした話だ。実際、99年に政治資金規正法が改正された際、政治家個人への企業・団体献金は確かに禁止されたが、政治家が代表を務める政党支部への献金は認める形で今も実質的に生き残ることになった。当初から巧妙に抜け道を用意していた政治家がいたということであり、それに気づかなかった私も恥じるばかりだ。
今焦点になっている補助金受給企業の献金問題も同じことが言える。規正法は補助金の交付決定を受けた企業や団体に1年間、献金を禁じる一方、政治家側に対しては補助金の交付を「知りつつ」献金を受けてはならないと定めている。つまり知らなければ違反にならないというわけだ。安倍晋三首相らがそろって「知らなかったから違法でない」と釈明しているのはそのためだ。
でも世間の常識で考えればおかしい。補助金を受けているかどうか、政治家側も調査は決して不可能ではないと思う。いや、これでは「知る」と違反になるから、「知ろうとせず、調査もしない」方が得だと規定しているようなものではないか。
政治家に都合がいいような抜け道ができないよう、ここは補助金等々に関係なく企業・団体献金は全面的に禁止するのが不信解消の道だと再度、言っておく。(専門編集委員)
◇=◇=◇
★脈絡のないきょうの一行
一部週刊誌で、川崎の中学生殺害事件の未成年容疑者の実名報道の報。メディア、ますます劣化。いやいや、週刊誌はメディアじゃない?
- 関連記事
-
- 11176 語るに落ちる
- 11170 知ってたら罪、知らなかったら無罪?(続編)
- 11169 知ってたら罪、知らなかったら無罪?
- 11159 ヘンだぞ、他国軍に拠出金
- 11155 未必の故意ではなかったか?④
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)