日本航空はなぜ経営危機に陥ったのでしょうか。私は大きく3つあると思っています。会社側提案の解雇強行日の31日を目前に控え、この問題を考えてみたいと思います。
1つは、日米構造協議を背景として、不急・不要な飛行機を買わされたことです。その代金と利息は、かなり重いものになったことは容易に想像できます。しかも使っていないジャンボ機もあるというではありませんか。飛行機の買い付けは、一人日航だけが決めたものではなく政府がからんでいます。その意味では日航の経営危機の責任は政府にもあると思います。
同じように政府の責任に帰するのですが2つ目は、地方の赤字路線に日航を強制的に就航させたことです。もともと日航は札幌や福岡などの幹線と国際線を主力にしていました。しかし、JASとの経営統合により、地方線にも乗り入れするようになりました。同時に、政府は「1県1空港」を唱え、地方空港建設に乗り出しました。その結果、儲かったのはゼネコンだけで、就航を強要された日航は空気を運ぶしかなく、赤字を出さざるを得なかったのです。
そして3つめは、これがある意味決定的だと思うのですが、経営体質です。「沈まぬ太陽」を例示するまでもなく、たたかう労働組合、たたかう労働者を毛嫌いし攻撃するその体質は変わっていません。社員のプライバシーを侵害した「監視ファイル」事件もそうです。労働組合を敵視したり、労働者を大事にしない経営者は、実は「経営」も大事にしていないのです。
日本航空は36億5700万ドルものドルの長期先物買い(1ドル180円で購入)や、ホテル・リゾート開発の失敗、500億円を投入した本社ビルの売却などの放漫経営をおこなってきました。その経営の失敗の責任を、労働者、とりわけたたかう仲間たちや健康を損ねた人たちを解雇することによって転嫁しようとしているのが、今回の解雇攻撃です。これはもう、一種の犯罪です。
31日まできょうを含めてあと3日。解雇されたら裁判闘争を辞さない、という組合員が増えているといいます。この件に関してILOは話し合いをすべきだと勧告しています。台湾では、年齢によって解雇するのは台湾の法律に違反するとして、日航台湾支社に罰金を課しました。27日には、「国民支援共闘会議」が結成されました。まだ間に合います。過誤と恥の上塗りをしないためにも、日本航空の経営者は202人の解雇を撤回すべきです。
新年までのカウントダウンが始まりました。よい年をお迎えください。
★脈絡のないきょうの一行
小沢一郎さん、偽証罪の罰則規定のない政倫審を選んだね。うまいねー。
餅つきは、ご存知の方が多いと思いますが事前の準備が大変です。前日からもち米を研いで、水に浸しておかなければなりません。最近は人数が増えたこともあって、もち米はなんと40㌔になりました。これを研ぐために前夜から泰史さんの両親、孝有さんと孝子さんが泊まり込みます。それを全てお任せするのは申し訳ないと、私の家で10㌔を研ぎますが、2時間余の作業となります。奥多摩ではその3倍の量ですから、大変さは推して知るべし、です。
朝からお湯を沸かして準備が整い、11時過ぎにスタートです。12時過ぎると、つきあがった餅で昼食とします。つきあがったばかりの餅はうまい。広場で〝立ち食い〟ですが、大根おろしや黄な粉、納豆と一緒に食します。妙子さん手作りのあんこは、あっという間に売り切れます。このあんこも実にうまい。
今年は10回目の記念に赤飯をつくりました。それをお願いしたHさんは、事前に自宅でリハーサルまでしてくれて、上手に仕上がりました。この赤飯も「売れ行き」抜群で、短時間でみんなの胃袋に納まりました。全てのもち米が餅に姿を変えたのは、午後4時半を回っていました。
これからが、本番です。この餅つき忘年会に参加するのに、特段の資格はありません。友だちが友達を呼んで、増えていきました。今年は現役の内科の登山家医者一家と、その後輩の医大生も加わりました。この小ブログを読んだことがきっかけで参加するようになった「山ガール」もいます。女優の市毛良枝さんも参加したことがあり、今年は急用でだめでしたが、作家の沢木耕太郎さんは〝常連〟です。NHKで放映された「夫婦で挑む大岸壁」の撮影クルーの皆さんも時間を割いて来てくれます。
忘年会は、今年1年を振り返って全員のひとこと発言が〝義務〟づけられています。今年の圧巻は、インドの7千メートル峰登山と、毒キノコに当たって入院したという二人からの報告でした。詳細は別に譲りますが、この日初めて出会った仲間もいますが、それを感じさせない雰囲気があります。
宴会が終わると、翌日、山に登るメンバーはお泊りです。帰る人たちにはこの日つきたての餅と、泰史さんと妙子さんが周辺からいただいてきた柚子などのお土産が持たされます。泊まる10数人は持参のシュラフにもぐりこみ、翌日に備えます。山は、昨年同様に倉戸山に登りました。それも泰史さんの案内で、登山道とは違う新しいルートを使って。
山から戻ってきたら、泰史さんのご両親らが作ってくれた昼食の焼きソバが待っています。これも慣例となってしまいました。20人ほどになるこの昼食もにぎやかです。そしてお別れ。つきたての餅をお土産にもらって、それぞれがマイカーに分乗します。私はお土産の追加に、妙子さんが作った大根をいただきました。これもうまかった。
★脈絡のないきょうの一行
「派遣村」のないこの年末、懸念の声が出ている。ボランティア任せでいいのだろうか。
JR奥多摩駅から鴨沢、丹波山方面へのバスに乗って、「倉戸口」で降りて倉戸山(くらとやま)への道にのります。舗装道路と別れるあたりに「倉戸山登山口」の標識があり、階段を登ります。ここを通過したら本格的な山道になりますが、その短い階段を登る途中左手にネコの額ほどの畑があり、その向こう側に民家の屋根が見えます。ここが登山家、山野井泰史・妙子夫妻の住む家です。
この畑、妙子さんが丹精込めていろいろなものを作っています。この季節はダイコン、ミズナ、ホウレンソウ、ときにはハクサイの姿を見ることがあります。畑の端にグミの木があります。この木、意外なほど大きな実をつけます。口に放り込むと、甘酸っぱさが広がります。家の周辺には、タラの木が林立しています。夫妻がここに引っ越してきて6年ほどになるでしょうか、当時は数本しかなかったものがいつの間にか増えています。
自宅に入るには、登山口の階段をやり過ごして反対側の階段を登ります。急斜面の階段で、泰史さんがクマに襲われ(09年9月)自宅に帰りついた後、この階段を運ばれるのは危ないと考えて、下まで降りて救急車を待ったという、いわくつきです。階段を登って右手が泰史・妙子さんの家です。
玄関左手に泰史さんが作った小さな池があります。そこには大きくなった金魚が悠然と泳いでいました。渋谷の登山用具店「モンベル」の店に金魚が飼われているそうですが、この池から〝移住〟したものだといいます。過日、友人がそれを確認に行ったところ、確かに元気な金魚がいたと報告してくれました。
玄関の手前にちょっとした空き地があります。ここが、毎年冬に行われる餅つき忘年会の会場に変身するのです。この小広場は日当たりがよく、12月も中旬だというのにポカポカと小春日和のなかで、楽しいひとときを過ごします。この餅つき忘年会、10回目ですが一度も雨が降ったことがありません。これも珍しい記録です。
この忘年会は2000年に山野井泰史さんがK2(8,611M)に登った(単独無酸素で南南東リブから初登頂)とき、スポンサーをつけずに資金調達する彼に何らかの役に立てばということで、募金活動を行いました。そのお礼にということでその年の暮れ、夫妻の住む奥多摩の自宅で始まったものです。以来、夫妻が凍傷の治療を余儀なくされたギャチュンカン遭難(2002年)の年を除いて毎年開いているものです。(次回につづく)
★脈絡のないきょうの一行
東国原前宮崎県知事が東京都知事選に出馬報道。これはもう政党政治の危機ではないのか。
政府は政策的に手をつけないだけか、国民年金で月額200円のダウンを発表しました(厚生年金はさらに増えます)。消費者物価指数に対応するという法律があるにせよ、あまりにもひどい仕打ちです。年金を減らすことはさっさとやって、充実させることは先送りするという態度がミエミエです。
後期高齢者医療制度にいたっては、目を覆うばかりです。三党合意は「廃止」を明確に謳っています。ところが民主党は恥ずかしげもなく名称を変えることからはじめました。「長寿医療制度」がそれです。お年寄りを侮蔑した名称としか思えません。結局この1年半でやったことといえば、名前を変えただけでした。これも年金と同じように先送りし、考えられている「改正」案はさらにひどいものになるとうわさされています。
さらにひどいのが障害者自立支援法です。これは自民党でさえ、廃止を言わざるを得なかったものです。ところが政府は突如「改正」案を国会に提出し、今月12月3日に成立させました。これについて日弁連は「本日、障害者自立支援法について、当事者である障がいのある人自身の反対の声を押し切り、改正法が可決成立した。(略)今回の自立支援法改正案が、突如として上程され、十分な審議もされずに成立したことは、遺憾であると言わざるを得ない。」と厳しく批判しています。あの法律、改定という姑息な手段ではなく、三党合意にあるように廃止しかありません。
多くの働く人たちが期待した派遣法改正問題もしかりです。三党合意は「『日雇い派遣』『スポット派遣』の禁止のみならず、『登録型派遣』は原則禁止して安定した雇用とする。製造業派遣も原則的に禁止する。違法派遣の場合の『直接雇用みなし制度』の創設、マージン率の情報公開など、『派遣業法』から『派遣労働者保護法』にあらためる。」としています。
これが実現すれば、どれだけの労働者が救われることでしょう。ところが、民主党は全く手を付けませんでした。背景に「企業からの政治献金解禁」があると私は見ていますが、うがち過ぎでしょうか。もしそうだとしたら、この問題は不問のまま放置されることになり、空前絶後の詐欺に抵触します。
三党合意の中身にはまだまだ優れたものがありますが、そのほとんどが反故にされたままです。「絵に描いた餅」の見本みたいなもので、民主党の本質を国民は見抜いています。それが最近の選挙に如実に表れていると言えます。さて民主党、小沢問題で分裂含みですが三党合意同様に、雲散霧消するのでしょうか。
★脈絡のないきょうの一行
年末解雇通告を出した日本航空経営者。道徳的にも人道的にも許してはならない。
◇=◇=◇
国民は今回の総選挙で、新しい政権を求める歴史的審判を下した。
その選択は、長きにわたり既得権益構造の上に座り、官僚支配を許してきた自民党政治を根底から転換し、政策を根本から改めることを求めるものである。
(一部略)
小泉内閣が主導した競争至上主義の経済政策をはじめとした相次ぐ自公政権の失政によって、国民生活、地域経済は疲弊し、雇用不安が増大し、社会保障・教育のセーフティネットはほころびを露呈している。国民からの負託は、税金のムダづかいを一掃し、国民生活を支援することを通じ、我が国の経済社会の安定と成長を促す政策の実施にある。
◇=◇=◇
小泉内閣が主導した「競争至上主義」の部分を、「構造改革」に置き換えたら私たちが主張するものと一致します。そうしなかったところに姑息さを感じますが、内容的にはいいものが含まれていました。ところが、ところが、その合意とは裏腹に、あの小沢一郎さんをして「菅内閣が成立して以来、選挙は連戦連敗」と言わせるに至るほどの裏切りとなったのです。
三党合意の政策の一つ、「年金・医療・介護など社会保障制度の充実」の部分をみてみます。
○「社会保障費の自然増を年2,200 億円抑制する」との「経済財政運営の基本方針」(骨太方針)は廃止する。
○「消えた年金」「消された年金」問題の解決に集中的に取り組みつつ、国民が信頼できる、一元的で公平な年金制度を確立する。「所得比例年金」「最低保障年金」を組み合わせることで、低年金、無年金問題を解決し、転職にも対応できる制度とする。
○後期高齢者医療制度は廃止し、医療制度に対する国民の信頼を高め、国民皆保険を守る。廃止に伴う国民健康保険の負担増は国が支援する。医療費(GDP比)の先進国(OECD)並みの確保を目指す。
○介護労働者の待遇改善で人材を確保し、安心できる介護制度を確立する。
○「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、利用者の応能負担を
基本とする総合的な制度をつくる。
――という5本から成っています。いいことが書いてあるではありませんか。(次回につづく)
★脈絡のないきょうの一行
自民党の意見と同じなのが面白くないけど、小沢一郎さん、やはり国会喚問でしょう。
わが家のパソコンのデスクトップに、1年以上も前からPDFになっている「三党合意」が置いてあります。政治の動向をチェックするための資料としてきましたが、この合意、社民党の離脱で死化しました。が、内容はまともです。告白しますが、この合意にちょっぴりですが期待した自分を恥ずかしく思っています。自己批判も込めてこれを再考してみようと思い立ちました。表紙は以下のようになっています。
◇=◇=◇
三党連立政権合意書
民主党、社会民主党、国民新党の三党は、第45回衆議院総選挙で国民が示した政権交代の審判を受け、新しい連立政権を樹立することとし、その発足に当たり、次の通り合意した。
一 三党連立政権は、政権交代という民意に従い、国民の負託に応えることを確認する。
二 三党は、連立政権樹立に当たり、別紙の政策合意に至ったことを確認する。
三 調整が必要な政策は、三党党首クラスによる基本政策閣僚委員会において議論し、その結果を閣議に諮り、決していくことを確認する。
2009年9月9日
民主党代表
社会民主党党首
国民新党代表
◇=◇=◇
素晴らしいではありませんか。「政権交代という民意に従い、国民の付託に応えることを確認」したのです。去年の9月のことでした。それが今ではどうでしょうか。社民党は政権離脱し、合意内容は不履行にとどまらず、自民党政権時に逆行さえしています。国民の負託は見事なまでに裏切られました。「自民党は駄目だ」という民意は、『民主党も駄目だった』に変わっているのではないでしょうか。
その合意した政策の全てを検証してみたいのですが、紙数に限りがあります。そこで社会保障制度の部分だけをみてみたいと思います。実によく出来ています。これに国民はコロッと騙されたと言っても過言ではありません。(次回につづく)
★脈絡のないきょうの一行
小池百合子さん、鳩山前首相のことを「ハトではなくサギ(詐欺)だった」発言。すごいね。
朝日/税制改正大綱-帳尻合わせは限界だ
毎日/税制改正 もう継ぎはぎは限界だ
読売/税制改正大綱 消費税抜きで改革はできない
日経/経済と財政の再生に宿題残す税制大綱
産経/税制改正大綱 この増税は納得できない
東京/税制改正大綱 財源手当はどうした
良し悪しは別にして社説は概して批判的です。少し中身を見てみましょう。この大綱をつくるにあたって「司令塔不在」を毎日と日経が指摘しています。「強い司令塔が不在のまま、調整を各省庁に委ねた」(毎日)、「司令塔は不在で、選挙を意識して不人気な策を避け、とりあえず取りやすいところから採る姿勢が目立った」(日経)と批判し、「理念上、整合性の取れた税制など期待しようがなく」(毎日)と手厳しいものがあります。
法人税5%の引き下げについて、読売はもっと下げろと促しています。東京は「減税は11年度にとどまらず、その後も続く。歳出で帳尻を合わせるなら、政策経費削減による恒久財源の確保が不可欠だ」と、財源に裏打ちされた減税を求めています。
消費税引き上げ問題についても各紙が言及しています。中でも読売は見出しにこれを立てて「消費税論議が『封印』された結果、抜本改革の全体像が見えない中で右往左往している印象だけが残った」と、消費税引き上げで財政を立て直すべきだという印象を受けました。全体として消費税増税は必要だという論調になっています。
「所得税や法人税の構造も見直す一体的な税制改革が不可欠」(日経)。「首相自らが閣議決定をほごにし、無駄の排除を怠っていては、税制の抜本改革を手元に引き寄せることはできない」(東京)。「税制は国民生活の重要な基盤だ。どんな社会にするために、どのような税制をめざすかがあいまいなままでは、社会保障の将来像も描けない」(朝日)などの指摘は、あながち外れてはいないようです。
それにしても消費税増税の論調、新聞社の経営にとって危険だと私は考えています。もし消費税がアップすれば、新聞各社は増税分を自力で吸収する力はありませんから、新聞購読料は間違いなく(日経はすでにそうなっていますが)4000円台に突入します。「4000円払うなら、ネットで十分」という読者が増大することは目に見えています。すなわちそれは、国民の新聞離れに直結します。現状でさえ広告収入が減り経営が厳しくなっているところに、読者が減ったらどうなるか。新聞社の「消費税倒産」が起きるのではないかという懸念は杞憂でしょうか。
★脈絡のないきょうの一行
取手駅で早朝通り魔事件発生。秋葉原事件を思い起こさせるが、ヘンだぞこの国は。
具体的に東京都と鳥取県の人口と衆議院選挙区の議席定数を見てみましょう(人口は10年3月末の総務省発表「住民基本台帳に基づく人口」から引用)。東京/1260万9912人・25議席、鳥取/59万5331人・2議席――となっています。鳥取2議席に人口比例する東京の議席をはじき出してみますと、42議席となります。これは数字の魔術でも何でもなく、客観的事実です。予め各都道府県に1議席を配分したことによるゆがみです。では何故こういう方法を採ったのでしょうか。
この考え方は非常に面白い。厚労省が学ぶべきものがあります。人口に比例して議席数を決めてしまうと、国政に地方の声が反映しにくくなる、というのがその理由です。言い方を変えると、小数人口県の意見を国会に反映させるためだというのです。だったら、小選挙区制を廃止すればいいではないかと思うのですが、それはあの人たちの姑息なところ。 人口の少ない県の声を国会に反映させるということで、「予め1議席を配分する」という方法は考え方としては成立します。
そこで、問題の中労委の民間担当委員の割り振りについてです。この小選挙区制の議席配分方法を踏襲すれば、かなりの解決策になると思います。これはあくまでも私案ですが、まず民間担当の11人を連合1人、全労連1人、その他ナショナルセンターに所属していない組合に1人を割り振り、残り8人を組織率に応じて按分する、というやり方です。
これでもまだ、未組織労働者の「代表」をどうするのかという問題は残ります。それは今後の課題として、この方式を採れば「連合独占」という図式から脱することができます。労働審判の審判員選出は、労働組合の組織率に準じて選出。衆議院の選挙区の定数を、人口の少ない県に予め1議席を配分するという、司法府と立法府は選出方法に公平な措置がとられています。中労委の民間担当委員選出にあたって、「連合独占」をつづける行政府の一つ厚労省、そろそろ考え方を変える潮時ではないでしょうか。
★脈絡のないきょうの一行
諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の「開門」をやっと首相が決断。いいことだが遅すぎ。
これに全労連、全労協を加えると32.3%となりますが、中労委民間担当委員が全て連合独占になったということは、約3分の1のこの声が無視されたことになります。さらに、労働者全体を対象にした絶対的組織率は連合だけで見ると、たった、12.5%に過ぎません。未組織労働者は数に入れなくてもいい、という声が聞こえてきそうですが、個別的労使紛争も取り扱う方向が強まっている労働委員会にあって、未組織労働者の存在は軽視できないはずです。圧倒的多数の4447万2千人・81.5%の未組織労働者の声をどう反映させるのか、厚労省は考えるべきです。
中労委委員の選出のしかたがおかしい、と言っているだけでは無責任になります。それでは、この種の委員などはどういうふうに配分したらいいのでしょうか。すでに行われている方法を導入してはどうか、というのが私の提案です。それは何かといいますと、衆議院の選挙区に用いられている方法です。
お断りしておきますが、小選挙区制度はいかなる方法であろうとも民意を反映せず、大政党を有利にする民主主義に違背するもので、私は反対です。しかし、選挙区における議席配分の考え方は、納得できる部分があります。人口の少ない県の声を反映するという考え方が採用されているからです。それはどういう方法かといいますと、非常に簡単です。(次回につづく)
★脈絡のないきょうの一行
茨城県議選でも民主党は事実上の惨敗。いま総選挙をやれば下番確実。
これを受けて、中労委はきょうから第31期(任期は2年)がスタートします。この中労委31期に非連合を代表して、民間担当労働者側委員に新聞労連特別顧問として私が「立候補」しましたが、今回も連合独占となり拒否されました。この問題、少し掘り下げてみたいと思います。※注・独法担当は非連合の淀房子さんが再任されました。
中労委は独立した委員会ですが、厚労省の管轄下にあります。同様に厚労省の管轄下にあり労働組合がかかわる審議会は、労働政策審議会、中央最低賃金審議会などいくつかあります。これらの審議会は、何故か中労委と同じように「連合」出身者で占められています。
中央最賃審議会を見てみましょう。労使双方それぞれ6人います。組合側は、日本サービス・流通労働組合連合、産業別労働組合ジェイ・エイ・エム、日本食品関連産業労働組合総連合会、UIゼンセン同盟、日本労働組合総連合会副事務局長、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会の代表が任命されています。全て連合系です。最賃問題は、「時給1000円」要求をはじめ、全労働者にかかわる重要問題です。この中に私の知人が1人入っており彼は優秀な人で、個人を批判するつもりはありませんが連合系労組だけの任命は中労委同様フェアとはいえません。
改めて指摘するまでもなく労働組合は連合だけでなく、全労連、全労協がありナショナルセンターに所属していない組合もたくさんあります。にもかかわらず、一つのナショナルセンター加盟の組合だけを対象にして任命しているケースは多々あり、中労委の民間担当(枠は11人)もその一つです。これは見方によっては民主党が一貫して批判してきた、「随意契約」と同じではありませんか。
各種審議会等の委員選出方法は、労働組合の組織率に比例することが分かりやすい方法です。これは後述しますがベストとはいえないものの、すでに労働審判員はそうなっています。この問題に触れる前に日本の労働者の組織率を見てみましょう。以下は厚労省が昨年6月30日現在で調査したものです。
全雇用労働者5,455万人、労働組合員数1,007万8千人/推定組織率18.5%
連合683万2千人/67.8%
全労連88万3千人/8.8%
全労協14万人/1.4%
その他222万3千人/22.1%
となっています。(次回につづく)
★脈絡のないきょうの一行
きっこのブログに「海老蔵は歌舞伎界の暴力装置」という記述があった(笑)。
前々回の甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)、前回の金峰山(きんぷさん)もそうでしたが、はっきり言って、この山の名前「みずがき」も初めての人には読めないと思います。明治38年山梨県知事として赴任してきた、武田千代三郎が命名したといわれているそうです(「山梨県の山」山と渓谷社刊)。難しい字に似つかわしい山です。岩峰が連なり、独特の風貌をしています。全国の山を歩きましたが、これは珍しい。同じ山梨県の昇仙峡や北海道の層雲峡にも似たような景色がありますが、これほど険しくはありませんし規模もありません。
随分前ですが、来日した中国人がこの山に魅せられて、登山口の瑞牆山荘で仕事をしているという、新聞記事を読んだ覚えがあります。中国の山々を彷彿とさせる、そんな魅力を備えているのでしょう。長い年月をかけて作られた岩峰群は、実は神の贈り物なのかもしれない、そんな錯覚さえ覚えます。
この山は記録をつけ始めた1992年7月以降、5回登っています。92年9月15日、94年11月12日、96年3月20日、02年11月3日、そして今年10年10月17日です。こうして並べてみますと、秋に行っています。季節がいいからでしょう。岩峰に張りついた紅葉は、絵に描いたような美しさです。
ここでは、秋ではなくまだ氷の残る96年3月20日のものを報告します。春分の日です。登山口の瑞牆山荘からスタートしました。富士見平小屋から先は山道が凍っており、アイゼンをつけます。瑞牆山への分岐までは順調に進んだのですが、目標とした八丁平方面へは誰も入ったことがないらしく、雪で塞がっていました。ラッセルする気分にもなれず、目的地を瑞牆山の山頂に急遽変更しました。天鳥川に一旦下って、山頂への登りにとりかかります。岩場の道はアイゼンには不向きで歩きにくく、慎重に進みます。
山頂近くで若い女性3人組とすれ違いました。冬場のこの季節に、しかも早い時間に下山してきたのに驚きましたが、この娘たちを帰りに車で拾い、聞いてみたところ前夜は富士見平小屋に泊まったといいます。「寒くて凍えそうでした」と語っていました。今で言う、山ガールですね。
山頂は独り占めでした。この季節にやって来る登山者はいないのでしょう。ガスがかかり遠望は利かず、不満を残して下山です。天気が良ければ、八ヶ岳が眼前に広がり、富士山が楚々としてたたずむ姿を目にすることができます。瑞牆山荘で温かいコーヒーを飲んで、帰路につきました。途中でバス停に向う前述の3人を拾い、以前泊まったことのある増富温泉の旅館・不老閣で汗を流しました。
*徒歩総時間/4時間10分
登山口・瑞牆山荘 (9:15)-富士見平(10:00 10:10)-瑞牆山山頂(昼食12:10 13:00)-富士見平(13:55)-瑞牆山荘(14:25)
*参考/94年11月12日登山/4時間25分
登山口・瑞牆山荘 (10:00)-富士見平(10:50)-天鳥川(11:15 1125)-瑞牆山山頂(昼食12:40 14:00)-富士見平(15:25)-瑞牆山荘(15:55)
*参考/02年11月3日登山/4時間05分
登山口・瑞牆山荘 (10:50)-富士見平(昼食11:30 12:20)-瑞牆山山頂(14:10 14:20)-富士見平(15:25)-瑞牆山荘(15:55)
*参考/10年10月17日登山/4時間25分
登山口・瑞牆山荘(8:30)-富士見平(9:20)-天鳥川(9:45 9:55)-瑞牆山山頂(11:20 11:40)-天鳥川(12:30 12:40)-富士見平(13:05)-瑞牆山荘(13:35)
※注・92年9月は計測していません。今年10月は16年前と同タイムで登っています。少しうれしい。
★脈絡のないきょうの一行
芸能人の喧嘩釈明会見にメディア・スクラム。平和といえば平和だが、何だかヘン。
◇=◇=◇
菅改造内閣として初の国会となった今臨時国会で、政府提出法案の成立率は過去10年間で最低の37・8%にとどまった。菅首相が掲げた「熟議の国会」には程遠い現状を裏付けた格好だ。
政府提出法案37本(通常国会からの継続審議を含む)のうち、成立したのは14本。国家公務員(一般職)の年間平均給与を引き下げる改正国家公務員給与法など、事務的に必要な法案が大半で、政治主導確立法案をはじめ、「菅カラー」を打ち出すことを狙った法案は、実質審議のメドすら立たなかった。
成立率は、秋の臨時国会でみると、過去20年間では1990年の20%、98年の35.3%に次ぐ、過去3番目の低さ。菅首相初の党首討論も開催されずに終わった。玄葉国家戦略相は3日の閣議後の記者会見で、「残念賞を込めて、『熟議』という言葉が今国会の流行語だ」と自嘲気味に語った。
◇=◇=◇
今度の国会で成立した法律は、改正高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法、来春の統一地方選の投票日を定める臨時特例法(都道府県と政令指定都市の首長・議員選は4月10日、その他の市区町村の首長・議員選は同24日)、生物多様性保全活動促進法、改正国家公務員給与法(5本)、農林漁業6次産業化促進法、口蹄疫対策特例法(2本)、改正障害者自立支援法、改正国会議員歳費法(2本)、司法修習生の給費制復活法――などとなっています。
私たちが抜本改正を求めていた労働者派遣法は、またしても継続審議となりました。雇用安定を図るためのものだっただけに、残念でなりませんし意図的な引き伸ばしとしか思えません。国会開催中に、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件、尖閣諸島中国漁船衝突のビデオ流出事件、法相の国会軽視発言など、放置できない事件も起きました。菅内閣がそれらの対応に追われたことは事実ですが、雇用問題をはじめとした諸課題には答えきれておらず、この国会はやはり「忸怩=深く恥じ入る=国会」だったのではないでしょうか。
★脈絡のないきょうの一行
諫早湾潮受け堤防の開門、佐賀地裁判決同様に福岡高裁も命令。さあどうする民主党政権。
金峰山と大弛峠はそんな人と人とのつながりが生まれたところであり、ぬくもりを感じさせてくれる山です。この大弛小屋にはこの周辺(甲斐秩父山塊)では2600メートルを超えて一番高い北奥千丈岳や、国師が岳に何回か登っており、そのたびに泊まったり、テントを張らせてもらったこともあります。
朝早く車で自宅を出て、勝沼ICで降りて牧丘林道に乗りました。林道は舗装化工事が進められており、行った日は平日だったことから午前8時30分以降になると一般車は侵入できず、危うくUターンを余儀なくされるところでした。今ではこの林道は完全に舗装されましたが、車の量が増えるとともに、小屋に泊らずに日帰りが多くなり、小屋の経営にも影響を与えているといいます。長野県側の林道は未舗装状態で、こちらのほうが自然を残してくれています。
峠から朝日岳に向う道は、急登から始まります。87年のときはこれに参った人がいて、時間を取られてしまい撤退しています。そんなことを思い出しながら、歩いていました。朝日岳の手前で前回来たときには見られなかった立ち枯れが多数見られ、びっくりしました。日光白根山もそうでしたが、酸性雨の影響でしょうか。
朝日岳から先はアップ・ダウンはあるものの、そう苦しいことはなく1時間で金峰山の山頂に着きました。山頂周辺はお昼どきと重なり、多くのハイカーが休んでいました。この山は「五丈岩」という大きな岩が山頂に横たわっています。私には無理ですが、器用な人は登れます。ぜひトライしてみてください。
下山はピストンし、車で長野県側に下って前回報告のモウキ平で野宿しました。翌日、甲武信ヶ岳に登ろうと思っていたからです。ところが夜中は星空も見えていい天気だったのですが、明け方から雨が降り出し甲武信ヶ岳を諦めて帰路につきました。
*徒歩総時間/3時間40分
大弛峠 (9:30)-朝日岳(10:35)-金峰山(昼食11:30 12:30)-朝日岳(13:20)-大弛峠(14:10)
★脈絡のないきょうの一行
日本航空の子会社が、経営危機下で自民党に政治献金。労働者を犠牲にしてひどいね。
早めに歩き出すつもりでしたが、車の中で眠り込んでしまい起きたのは7時過ぎ。手早く準備を済ませて山頂をめざします。まず、千曲川源流に沿って歩きます。登山道は20年前と違って、整備されています。ゆるやかな登りで、ゆったりと歩きます。花は盛期を迎えており、立ち止まってカメラのシャッターを押す回数も増えます。
2時間半ほど沢とつきあい、源流に別れを告げると急登が出現しました。「これをしのげば稜線だ」と思うと力が入ります。稜線に出て左に曲がって5分もすれば、甲武信ヶ岳山頂への急登に取り付きます。ここからの急登をしのげば山頂です。頂上には「百名山甲武信ヶ岳」と書いた立派な標識が立っていました。奥穂高岳や鳳凰三山のようにないのも困りますが、こんなに派手なものも、戸惑います。
曇り空で山頂からの眺望はありません。写真を撮ってそそくさと下山です。まず三宝山をめざします。その山頂は広々としていましたが、木々に阻まれて西側だけしか見通せませんでした。あとで知ったことですがこの山、埼玉県の最高峰でした。ここで昼食休憩としました。
昼食が終わると本格的な下山です。武信白岩山の基部までは飽きるほど長く感じました。「これを登りにとらなくて良かった」と思ったくらいです。この山は山頂に登ることを禁止していました。岩場をよじ登らなくてはならないからです。それを横目に十文字峠に急ぎます。
下りでかなり力を使ったようで、膝に痛みをおぼえました。それからはスローペースとなりましたが、無事に車を置いたモウキ平に戻りました。モウキ平からは中津川林道を利用し、秩父に出る途中の両神村の「薬師の湯」で汗を流しました。中津川林道は何回か利用していますが、ダートな道で車は〝悲鳴〟を上げていました。
*徒歩総時間/7時間30分
モウキ平 (7:20)-甲武信ヶ岳山頂(10:40 10:55)-三宝山(昼食11:25 11:55)-武信白岩山(13:00)-十文字峠(14:00 14:10)-モウキ平(15:45)
*参考/04年6月18日登山/6時間05分
モウキ平 (5:00)-ナメ滝(6:40 6:50)-千曲川源流(8:05 8:25)-甲武信ヶ岳山頂(9:05 10:15)-ナメ滝(11:40 11:50)-モウキ平(12:55)
★脈絡のないきょうの一行
ヨンピョン島砲撃事件で、尖閣諸島とビデオ流出問題がメディアから消えた。面白いね。